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邦楽ジャーナル取扱店訪問記

片切琴三味線店・(東京都昭島市)

  

【写真左】店主の片切利幸さんと夫人
【写真中央2点】ピンが格納されて目立たない工夫
【写真右】学校向けに制作した片切琴三味線店オリジナルカタログ

  片切琴三味線店のご主人、片切利幸さんは昭和34年に10代でこの世界に入り、見習いとして桐材を干すところから始めて箏づくりを学んだ。10年ほどして独立し、以来40年以上昭島市で営業している。
  アイデアマンのご主人が工夫した品々が並ぶ店内。ピンが格納されて目立たないピン箏、箏を置くだけでガタドメ作業不要の立奏台、正座したときに客席から又が見えにくい見台、2段柱、3段柱、爪つくりの棒などなど。お客さんからの要望に応え、自分の舞台上での作業手順の効率化を考える中から生まれたアイデアだ。音色を良くすることと、お客さんの使い勝手を良くすることにこだわり続ける。
  長年無償で学校への箏貸し出しなどを続けてきたかいあって、ようやく必修化で少しは予算も付くようになった今、仕事の半分が学校関連だ。ちょうど取材の前日、全国の中学生の文化交流のため、岩手へ向け箏を何面も梱包発送したところ。当日はご主人も現地へ赴き楽器の準備にあたる。夏休みに生徒数百人が使う箏爪は正月から作り始めなければならないし、学校向けのカタログも作成している。みな「未来のため」という片切さん。

「邦楽ジャーナル」2011年9月号(296号)より

片切琴三味線店:東京都昭島市中神町2-19-17 Tel.042-541-0807

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